2011.01.24 Monday
 

経団連はほっとするが、油断は禁物

 10年12月14日の午後5時30分から日本経団連幹部と記者の懇談会が開かれた。私は財界記者時代から出ていたが、御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)の時に偽装請負の問題で御手洗会長を厳しく批判した事もあってこの会への案内は来なかった。米倉弘昌会長になってから、案内が来るようになった。法人税の5%引き下げが決まった後だけに米倉会長は「菅総理の決断に感謝いたします」とトレードマークの白いまつげを下げて喜んでいた。日本経団連としては長年の悲願だけに民主党政権で引き下げが決まった事に喜んでいた。

 米倉会長は環境問題には関心を持っている。住友化学の会長でもあり政府に対して、環境基本法の制定などに対して電力業界や鉄鋼業界とともに反対をしている。COP16で京都議定書が2013年以降に継続するかどうかが大きな問題であった。京都議定書が継続すると日本は環境問題で大きな負担を負う事になる。そのために経団連は坂根正弘副会長(コマツ会長)を現地に派遣して、継続に反対した。松本環境相も経団連と共同歩調を取り「米国と中国が入っていない京都議定書では温室効果ガス全体の27%しかカバーしていない。米国や中国を入れたものにする必要がある」と各国に訴えた。それに対して、インドネシアや南アフリカなど開発途上国は「京都議定書を13年以降も継続して行うべきである」と記者会見などして日本などの先進国に反対した。こうした会議では開発途上国の方が数が多いだけに、日本の主張は通らないと思われたが最終的に日本の主張が通る形で収まった・米倉会長は「坂根副会長ががんばってくれたので、13年以降は温室効果ガスを多く出している排出国である米国などを巻き込んだ形になってよかった。日本だけが一生懸命しても地球全体の温室効果ガスは減らないのだから考え直すべきですよ」と話していた。

 経団連の事務局の幹部は「欧州で広く行われている排出量取引はいまや絶滅状態になっています。金融取引の観点から始めたので、リーマンショックで金融が付かなくなってしまいました。環境対策の観点でなく金融という視点で始めたので、環境対策からも効果が出ていませんね。日本でも排出量取引を検討していますが、うまくいかないのではないでしょうか」と東京都などが検討している排出量取引についも疑問を投げかけている。

 環境税については政府税調は11年秋にも導入しようと検討している。税率については段階的に引き上げる形になりそうだ。

 経団連としては鳩山前首相が世界に公約した90年比で2020年には25%温室効果ガスを削減するという事に反対している。今回のCOP16や環境税などで経団連の考えが透った形だが、全体の動きは環境問題については厳しくなってゆくと考えた方が良いだろう。喜んでばかり入られない。油断は禁物である。

| 環境建築 | 05:12 | - | - | pookmark |
2010.04.25 Sunday
兼平さん環境建築の論点です

 スペインは風力発電で一石二鳥

 朝日新聞経済部のOBが2ヶ月に一回、現役の記者を呼んで勉強会「ニ水会」を開いている。4月14日は小森敦司編集委員に来てもらった。小森編集委員は現在、環境・エネルギー資源担当でこの日は朝日新聞社から出版したばかりの「エコ・ウオーズ」という本を持ってきて「温暖化は防げるか?」というテーマで話しをした。まず、日本の90年比25%について電力、鉄鋼、化学業界がいかに抵抗しているか、という話しをした。麻生政権とは違う目標を出したことに小森編集委員は「この目標に向かって努力して実願すれば日本の産業は一段と強くなる」と話した。

 そうした中で世界の情勢について話したが、ビックリしたのはスペインの風力発電である。スペインといえば国際収支が悪く「PIGS」(ポルトガル、アイルランド、ギリシャ、スペイン)といわれているうちの一つである。このスペインは風力発電で国内の全発電量の13%をまかない、風力発電メーカーの「イベルドラ・レノバブレス」という会社は1兆7800億円の株式の時価総額がある優良企業に育っている。

 本文の中でこうした記述が出てくる。

 「2009年11月8日は風が強い日だった。午前4時半から1時間半、スペイン全土の電力供給の53%を風力発電が占めた」

 ドンキホーテの物語で風車が出てくる国だけにこうした風力発電は得意なのだろう。

 こうしたスペインに比べて日本では新しいエネルギーによる発電量は0・7%であり、この中で風力発電は36・9%と4割近くを占めている(07年のエネ庁資料)。その上に風力発電には騒音、鳥の衝突などの公害問題もあり日本ではなかなか増えてゆかない。

 日本では風力よりも太陽光発電に力を入れてきており、政府の補助金が出たり、電力会社が余った電力を買うなどして増やしてゆく方針である。太陽光発電についてもこれを利用しない消費者が太陽光発電の電力会社の買い上げで、電力が高くなるという問題も出ている。

 東京都は4月1日から温暖化ガスを少なくするために都内の1400事業所を対象に罰則をつけた初めての規制を始めた。大手事業所はこの規制をクリアするためにいろいろな努力をしている。既にこの欄でも書いたが三菱地所の新丸ビルは自然のエネルギーによる電力を使い始めている。青森県からの風力発電が50%、小水力電力発電40%、バイオマス発電が10%の割合である。こうした例はまだ多くはない。小森編集委員によると都内の事業所は規制をクリアすることは難しいとして排出量取引で何とかしようとしている。このために地方の排出量が余っている会社を訪ねているという。これから本格的な環境の戦い(エコ。ウオーズ)が始まるのだろう。(阿部和義。元朝日新聞編集委員)
| 環境建築 | 20:15 | - | - | pookmark |
2010.01.08 Friday
 8月30日の選挙に向けて、自民党も民主党もマニュフェスト(政権公約)を発表して、選挙民に訴えている。民主党は千葉市長選、静岡知事選、東京都議選と勝ち進んで、今回の衆院選でも勝つのではないか、と見られ政権交代の足音が近づいてきた。そうした中での民主党のマニュフェストは注目される。7月27日に発表したマニュフェストは5原則5策から成り立っている。官僚改革についてどのように書いてあるか見てみる。

 原則1では「官僚丸投げの政治から政権党が責任を持つ政治化主導の政治へ」、原則3は「各章の縦割りの省益から官邸主導の国益へ」となっている。具体的な対策として第4策で「事務次官、局長などの幹部人事は政治主導の下で、業績評価に基づく新たな幹部人事制度を確立する。政府の幹部職員の行動規範を定める」となっている。第5策は「天下り、渡りの斡旋を全面的に禁止する。国民的な観点から行政全般を見直す『行政刷新会議』を設置し、すべての予算や制度の精査を行い、無駄や不正を排除する。官・民、中央・地方の役割分担を見直し、整理を行う。国家行政組織法を改正し、町長編成を機動的に行える体制を構築する」となっている。

 自民党もマニュフェストで「天下りや渡りの全面的禁止。税金の無駄遣いの徹底追及」を訴えているが、官僚改革については民主党のほうが一歩進んでいる。

 民主党は既に参院では第一党になり、野党が主導権をとり自民・公明党の政策や人事に反対してきた。日銀の人事では民主党の反対で総裁がなかなか決まらないということもあった。

 今回のマニュフェストに対応するためか、国土交通省は72年卒の次官が谷口博昭氏で3人となるのに、竹歳誠・国土交通審議官を留任させた。同期の事務次官が誕生すると同期が退任ケースが多いのに異例である。金子一義大臣が国土交通省として竹歳氏が必要と判断したからだろう。竹歳氏と同期で最初に事務次官をした峰久幸義・国土交通省顧問も7月28日付で住宅金融支援機構の副理事長になった。

官僚たちは民主党政権になると地位が危うくなると不安を抱き、落ち着かない雰囲気だ、という。自民党の橋本内閣の時もこうした官僚改革があった。こうした改革があっても仕事をするのは今までの経験がある官僚である。世界的に見て日本の官僚は真面目で不正をしない、ということでは世界でも評価されてきている。勿論、中には不真面目な官僚もいたことは否定できないが、大部分の官僚は真面目にこつこつと仕事をしてきている。私の身近にもこうした人たちが多い。今回の官僚改革に対しても、「国民のためという観点」で自信を持って建設官僚は対応して欲しい。
| 環境建築 | 10:40 | comments(0) | - | pookmark |
2010.01.08 Friday
 ゼネコン大手の鹿島が環境関連技術をビジネスとして売り出してゆく。太陽光発電システムのリース事業にも参入した。

鹿島は石川六郎社長が経済同友会の副代表幹事や日商会頭など勤め財界活動に熱心だったことから、業界でも早くから環境対策に取り組んできた。1986年には「建設公害対策委員会」を作り、次いで92年には「地球環境問題に関する鹿島の基本方針」を制定し、98年に「鹿島環境方針」を制定した。2000年には「環境会計」の公表を始め、01年に「グリーン調達指針」を制定している。

 こうした環境問題に取り組むと同時に1949年に業界で初めて作った技術研究所で環境分野の技術開発に力を入れてきた。こうした努力で同社の環境技術は業界でもトップクラスの力を持っている。具体的には土壌汚染浄化技術であり、植物を利用したバイオマスエネルギー、水域再生、緑化技術、太陽光発電、風力発電などの新エネルギーなどが上げられる。特に土壌汚染浄化技術では「揮発性有機化合物」「重金属・農薬」「油汚染」などの問題を解決できる技術を持っている。

 こうした今まで蓄積した環境関連技術で、環境問題で困っている企業を支援してゆく。鹿島は工場用地や建物を診断して、必要に応じて土壌汚染の原状回復やアスベストの処理などを行う。土壌汚染については、東京都・築地の魚市場の移転先の豊洲にある候補地が土壌汚染の問題で、移転問題が難航している。大阪ではマンションを建て販売したところで土壌汚染の問題が出て、販売した不動産会社の社長が辞任した。こうしたことから10年度から土壌汚染対策費などを反映させる会計ルールが導入される。さらに地方自治体の環境規制も厳しくなってくる。特に東京都は10年度から1300社の事業所を対象に二酸化炭素の排出量の総量の削減義務を課し、できない事業所は罰金を科せられる。

 こうした厳しい規制が課せられることから鹿島は土壌汚染対策だけでなく、オフィスビルなどでは電力消費の少ない空調に切り替え、二酸化炭素排出量の削減策を提案する。このように土地や建物の環境対策を切り口にして不動産価値を高める事業はゼネコンといては初めてのことである。

 鹿島はビルや事業所の改修工事などの提案で、3年後には400億円前後の受注を見込んでいる。

 鹿島はこうした事業だけでなく太陽光発電システムのリース事業に参入した。国土交通省が始めた「新たな温室効果ガス削減環境事業モデル」の第一号に内定して500万円の助成を受けた。鹿島は8月中に都心の土木工事現場の一つをモデル現場とする。プレハブ事務所の屋上に太陽光発電システムを置き事務所の電力をどの程度まかなえて、どの程度のリース料金なら需要があるかを検証する。事業性が確認できれば事業に乗り出す方針である。
| 環境建築 | 10:38 | comments(0) | - | pookmark |
2009.09.30 Wednesday
 経済産業省は環境に良いという太陽光発電を伸ばそうといろいろな対策をとり始めた。太陽光発電は環境に良いということから、08年7月に政府が打ち出した「低炭素社会作り行動計画」で導入量を20年に現状の10倍、30年に40倍にする目標が決まった。この計画に基づき経産省は08年度の補正予算で太陽光発電装置の補助金に90億円取った。09年1月から太陽光による発電装置に1kW当たり7万円の補助金を復活した。

 経産省は太陽光発電については05年度までは補助金をつけてきた。その結果、日本のシャープや京セラ、三洋電機などの太陽光発電装置は世界でも一番普及した国だった。この装置を売り込んでいた販売会社に対する消費者センターへの苦情が多いことなどや家庭への普及も進んだということで、補助金を打ち切った。このため世界一であった全体の設置量もドイツに抜かれてしまった。

 太陽光発電を促すために、家庭で作った電力で余まったものを電力会社で買い上げる仕組みを導入すべきである、という声が与野党から出てきた。ドイツでは既に1kWを71円で買い取る仕組みがある。フランスでも1kW45円で買い上げている。太陽光発電を促進するために一般に電力会社が利用者に売っている価格よりも高く買い上げている。これに対して電力会社は太陽光発電を固定価格で買い上げると、一般の利用者へ跳ね返って電力料金が高くなる心配があると反対していた。

 経産省もこの買取制度には反対であったがこの2、3年が普及するための勝負どころである、という二階経産相の決断で「固定価格買取制度」が決まった。家庭で発電したのに使いきれなかった電力を今の2倍の1kW当たり約50円で電力会社が買い取る。

 この二つの補助で太陽光発電装置は安くなる。業界の試算では電気代の節約効果や余剰電力の販売収入で初期投資の回収期間が10―15年と従来の半分程度に縮じまる。耐用年数の20年以内に回収できる可能性が出てきた。

 出力3・8kWの設備を対象にコスト回収期間を試算すると初期投資は本体価格と施工費で266万円。国の補助は出力1kWで7万円、東京都と墨田区の1kW当たり10万円の助成金を使えば初期投資は163万4千円と100万円近く減る。余剰電量の買取や節約効果などで収入は年約15万3千円に高まる。

 こうした安くなった太陽光発電を利用してミサワホームはや積水ハウスは従来よりも安い価格で発売している。この住宅不況の中でミサワホームは2月末までの2カ月で約200棟を受注した。積水は太陽光発電付き住宅の販売を09年度は前年比倍増の4千棟に増やす。
| 環境建築 | 10:49 | comments(0) | - | pookmark |
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