2013.09.13 Friday
 アベノミクスの異次元の金融政策のおかげか、円安、株高が続いている。7月21日に行われた参院選挙でも自民党と公明党の政権党が圧勝した。

経済対策が選挙民に理解されたという事と、政権が長持ちして欲しいという国民の願望がこの選挙結果に出ている。そうした動きの中で不動産業界や住宅業界は景気の良い動きを続けてゆくだろう。

 不動産業界は新しいマンションや建物・商業店舗の建設に前向きになっているが、そうした新しい建築物に特徴的なのは、環境と耐震を含めた防災を売り物にしていることだ。3・11の東日本大震災以降こうした傾向はますます進んできている。

 三井不動産グループの三井不動産レジデンシャルと野村不動産は6月25日に地下鉄の日比谷線と大江戸線の「月島駅」に直結している高層マンションの「キャピタルゲートプレイス」の見学会を行った。私は出来るだけこうした現場を見ることで新しいいマンションの動きを見ようと出かけている。このマンションは02年から再開発の権利人による発起人会が発足し、12年に本体の工事に着工し、15年7月に完成する。地上約187m、53階で702戸のマンションが出来る。このうち322戸について完成前の登録受付をするためにマスコミの見学会をした。

 既に9千件の問い合わせがあり港区、江東区の住民など2500組が見学に来ている。このマンションの特徴は銀座に20分ぐらいの時間で行けるという「タイムレス東京」ということのほかに環境と防災対策を丁寧にしている。例えば環境では「建物の断熱性」「設備の省エネ性」「太陽光発電・太陽熱」「建物の長寿命化」「みどり」などについて、東京都マンション環境表示性能表示ですべて三ツ星を取った。

 さらに防災対策では約72時間稼動の非常用発電機や建物のゆれを少なくする制震構造を採用している。このほか、各階に防災倉庫をつけ、約15万リットルの雨水を利用できる。

 三井不動産のマンションでは環境・防災に万全の体制を敷いている。

 東京駅前にあった片倉工業,第一生命、清水地所などが東京建物の斡旋で「京橋開発特定目的会社」を作り、133月に「東京スクエアガーデン」として完成した。地下鉄銀座線の「京橋駅」と直通であり、地上24階、地下4階の建物で、オフィスと商店が入っている。環境対策ではオフィスからの二酸化炭素の排出量を45%削減する目標を立てている。省エネや景観への配慮、快適性などのめやすになるCASBEEでは最高のSランクを取っている。さらに低層部には高さ30メートル、広さ3,000平方メートルの「京橋の丘」を作り、都心のクールダウンや「風の道」の形成に寄与している。

 二つのケースで見られるように、新しい建築物では環境と防災対策がいまや利用者の関心事である。

| 兼平様論点の原稿 | 09:07 | - | - | pookmark |
2012.08.06 Monday
 

経営計画は計画通りにはいかないもの

 

 デベロッパーやゼネコン各社は長期の経営計画を作り記者会見をして発表している。株主などへの情報公開の一貫なのだろう。不動産業界のトップの三井不動産や三菱地所なども相次いで長期の経営計画の発表をした。三井不動産は毎年200人近くのマスコミを集めてホテルで発表している。今年は4月9日にコレド室町の「日本橋三井ホール」で行った。菰田社長、浅井、飯野常務、船岡経営企画部長の4人が説明した。前回は5年前の07年5月9日にマンダリンオリエンタル東京のグランドボールルームで岩沙社長、曾田副社長、齋藤常務、佐藤経営企画部長が出て説明した。

 前回の事が思い出される。この時は300人以上が会場に詰め掛けて熱気にあふれていた。岩沙社長は自信満々で説明を始めた。

 「今回の『新チャレンジ・プラン2016(07年度から16年度グループ長期経営計画)』についてまとまったので本日発表いたします。前回発表した『チャレンジ・プラン2008』については目標であった利益成長、財務基盤の強化が2年前倒しで実現できましたのでそれを踏まえて新しい計画を作りました」

 「今回のプランはステージ機▲好董璽賢兇吠未韻栃殕事業、開発事業、マネジメント事業、都市開発についての目標を作りました。3年後の09年度の目標は営業利益で2200億円としました。こうした目標はコミットメントとして実現しなければ責任を取るということです」

 当時の日産自動車のカルロスゴーンCEOのように岩沙社長は自信満々であった。ところが今回の菰田社長の「イノベーション2017(2012〜2017年度グループ中長期経営計画)」では次のように背景を説明している。

 「07年度に『新チャレンジ・プラン2016』をスタートさせましたが、08年のリーマンショックを契機にした金融危機とその後の世界不況、2011年の東日本大震災、欧州債務危機の深刻化など環境は大きく変化しました。このために09年度から11年度は危機対応期間として位置づけて新しい成長に向けて準備を進めてきました」と前提を反して、新しい計画を発表した。その計画では14年度の目標を営業利益で1630億円、17年度は2400億円と定めた。前回の岩沙社長の時は目標は9年度に2200億円としている事からして控えめな数字になっている。

 今回の発表では最後に定量目標を入れたが、前回のように目標数字よりも地道に売上げを増やしてゆく事に主眼を置いた。前回とは違い今回は菰田社長の後に第二部として「グループの住宅事業の強化について」ということで三井不動産レジデンシャルの藤林社長などが説明をした。

 長期経営計画の立て方も社長によって違うようである。経済は動いており計画どうりには行かないことが多い。

| 兼平様論点の原稿 | 10:59 | - | - | pookmark |
2011.04.05 Tuesday
 

 10年12月14日の午後5時30分から日本経団連幹部と記者の懇談会が開かれた。私は財界記者時代から出ていたが、御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)の時に偽装請負の問題で御手洗会長を厳しく批判した事もあってこの会への案内は来なかった。米倉弘昌会長になってから、案内が来るようになった。法人税の5%引き下げが決まった後だけに米倉会長は「菅総理の決断に感謝いたします」とトレードマークの白いまつげを下げて喜んでいた。日本経団連としては長年の悲願だけに民主党政権で引き下げが決まった事に喜んでいた。

 米倉会長は環境問題には関心を持っている。住友化学の会長でもあり政府に対して、環境基本法の制定などに対して電力業界や鉄鋼業界とともに反対をしている。COP16で京都議定書が2013年以降に継続するかどうかが大きな問題であった。京都議定書が継続すると日本は環境問題で大きな負担を負う事になる。そのために経団連は坂根正弘副会長(コマツ会長)を現地に派遣して、継続に反対した。松本環境相も経団連と共同歩調を取り「米国と中国が入っていない京都議定書では温室効果ガス全体の27%しかカバーしていない。米国や中国を入れたものにする必要がある」と各国に訴えた。それに対して、インドネシアや南アフリカなど開発途上国は「京都議定書を13年以降も継続して行うべきである」と記者会見などして日本などの先進国に反対した。こうした会議では開発途上国の方が数が多いだけに、日本の主張は通らないと思われたが最終的に日本の主張が通る形で収まった・米倉会長は「坂根副会長ががんばってくれたので、13年以降は温室効果ガスを多く出している排出国である米国などを巻き込んだ形になってよかった。日本だけが一生懸命しても地球全体の温室効果ガスは減らないのだから考え直すべきですよ」と話していた。

 経団連の事務局の幹部は「欧州で広く行われている排出量取引はいまや絶滅状態になっています。金融取引の観点から始めたので、リーマンショックで金融が付かなくなってしまいました。環境対策の観点でなく金融という視点で始めたので、環境対策からも効果が出ていませんね。日本でも排出量取引を検討していますが、うまくいかないのではないでしょうか」と東京都などが検討している排出量取引についも疑問を投げかけている。

 環境税については政府税調は11年秋にも導入しようと検討している。税率については段階的に引き上げる形になりそうだ。

 経団連としては鳩山前首相が世界に公約した90年比で2020年には25%温室効果ガスを削減するという事に反対している。今回のCOP16や環境税などで経団連の考えが透った形だが、全体の動きは環境問題については厳しくなってゆくと考えた方が良いだろう。喜んでばかり入られない。油断は禁物である。

| 兼平様論点の原稿 | 16:29 | - | - | pookmark |
2011.02.11 Friday
 

環境問題は実行の年へ 岩沙理事長の決意

 1月6日に都内ホテルで開かれた不動産協会の新年交歓会は例年に比べて3割近く増えて会場に入りきれない人も出たほどである。この席で岩沙弘道理事長は「今年はなんとしても環境問題について実行する年です。今までは計画段階でしたがいよいよ本格的に着手しなくてはなりません」と環境問題についての決意を示した。岩沙理事長は2011年には数値目標を作って実行してゆくという

 不動産協会は環境問題には早くから手をつけており、2010年を「低酸素型街づくり元年」として、環境への取り組みを加速するために環境自主行動計画(オフィス編、新築分譲マンション編)をアクションプランの中に位置づけて、会員企業の実行を推進するようにしてきた。11年にはオフィスビルについて、12年は新築分譲マンションについて数値目標を設定する。これで日本経団連とも連携して「PDCAサイクル」の推進を図る。岩沙理事長は日本経団連の副会長でもありこの連携はうまくいきそうである。

 10年4月から東京都は都内の1400の大きな事業所について環境基準を作り、基準に到達しない事業所について公表するとともに罰則を加える。こうした事もあって東京都は主要ビルについて排出削減義務が軽減できる「優良特定地球温暖化対策事業所」の制度を作った。オフィスについては「高効率照明器具の導入」「トイレの温水洗浄便座の電源を夜間に停止しているか」などの設備面から「クールビズ、ウォームビズを実行しているか」「パソコンの電力節約の啓蒙活動をしているか」などの運用面まで228項目について審査する。100点満点で80点以上が「トップ事業所」、70点以上が「準トップ事業所」になる。

 トップ事業所は原則6−8%の排出削減義務が半分、準トップは4分の3に緩和される。三菱地所では27事業所が対象になるが丸ビルなど9事業所について申請した。森ビルは3箇所で準トップで申請した。三井不動産は日本橋三井タワーなど2箇所をトップ事業所として申請した。住友不動産も1箇所準トップを申請した。東京都によると12月末で締め切りだったが55事業所から申請が出ている。工場については3月末の締め切りである。

 三菱地所は「手間はかかるが、大型のビルでは義務の緩和の効果は大きい上に、環境対策について積極的に取り組んでいる事を示す効果もある」と話している。各デベロッパーはビルでもマンションでも環境問題にどのように取り組んでいるか、を売り物にしている。黒住・高層住宅管理業協会理事長も新年会で「いまやどの新年会に行っても挨拶を聞くと環境、環境で話す種がないほどだ。だから私はいまさら環境については話さなかった」と苦笑いをしていた。

| 兼平様論点の原稿 | 07:15 | - | - | pookmark |
2010.07.28 Wednesday
 環境問題に本格的に取り組む三井不動産

 不動産業界のトップ企業である三井不動産は国内だけではなく海外での事業にも環境問題を第一にして取り組んでいる。他の不動産業者も環境には力を入れているが、三井不動産ほどではない。岩沙弘道社長が日本経団連の副会長を務めていることもあって環境問題には業界の先頭に立ってさまざまな事をやっている。マンションだけではなく戸建て、商業施設などでも環境に配慮した商品を出している。

 三井不動産は環境コミュニケーションワードとして「&EARTH」(アンド・アース)という言葉を使って環境への取り組みの理解を深めていっている。そのメッセージは

 「街をつくることは地球の一部をつくること。そして地球の未来をつくること。だから私たちはあなたのことを想いながら地球のことを考える。あなたの明日を想いながら地球の明日を想像する。三井不動産グループはつづけています。その豊かさと潤いが50年先、100先の幸福な未来へとつながっていく新しい街づくりを。「共生・共存」という理想のもとで、そこで暮らす人、働く人、そこを訪れる人とともに」

 さらにアンド・マークの理念として「都市と自然」「経済と文化」「働く事と学ぶ事」という概念を「あれかこれか」という「OR」ということでなく「あれもこれも」という形で共生・共存させ、価値観の相克を乗り越えて新たな価値観を創出してゆくもの、としている。

 具体的なものは「二酸化炭素の削減」「水環境の保全」「有害物質削減」「省資源・廃棄物削減」「生物多様性の保全」と5項目を挙げている。

 具体的な取り組みでは東京ミットタウンで屋上緑化による遮熱、雨水の再利用、複層ガラスによる窓からの熱の削減、太陽光発電、照度センサー付天井照明などを上げている。柏の葉キャンパスシティでは次世代環境都市に向けて先進的な取り組みをしている。

 「六本木一丁目南地区第一種市街地再開発事業」では都内の超高層マンションとして初めての長期優良住宅の認定を受けている。商業施設では7月8日にグランドオープンした「三井アウトレットパーク滋賀竜王」では環境共生型のアウトレットモールとして評判になっている。「世田谷区中町3丁目計画」(総戸数43戸)は国土交通省の「住宅・建築物の省CO2推進モデル事業」として採択されている。

 海外事業についても中国・天津で行っている35万人が住む大規模環境都市開発プロジェクト「天津エコシティ」に参画している。このプロジェクトも「環境共生」「省資源・資源環境効率化」をコンセプトにして進めている。
| 兼平様論点の原稿 | 07:20 | - | - | pookmark |
2010.02.06 Saturday
お堀端に建っているパレスホテルは、皇居の杜(もり)に近いことから上から見る景色がよいことで評判である。個人的なことを言う私はこのホテルで35年前に結婚式を挙げた。皇居が見える場所ということで出席した人の評判は良かった。このホテルが改築を検討している。パレスホテルが千代田区の審議会に出した計画によると現在の10階30mの高さを地上23階約100mのオフィスとホテルの混合ビルにする。

 この計画に対して千代田区議会は「景観保護の意見書」(皇居周辺の景観保存)を議決して、千代田区と東京都、国土交通省に出した。これに対して国土交通省は景観条例を具体的に決めるのは地方自治体の問題だとして取り合わない方針。それに対して東京都は景観条例に基づき区域指定をする方針である。2016年のオリンピック招致の問題もあり、石原知事は前向きに検討するように指示している。

 一方、こうした動きを見て宮内庁もパレスホテルの建物が宮内庁病院の正面に向き合うために向きを変えるように配慮を求めている。

 歴史的な建物保存に取り組んでいる市民団体も08年11月に東京・神田でシンポジウムを開いた。

 こうした動きに対して千代田区とホテルは「ホテル側は200mまで建てられるのに半分の高さに抑えており、問題は無い」と反発している。

 皇居周辺の建物については景観という問題だけでなく天皇陛下が住んでいる皇居を見下ろす、という神格論争も加わり経済、社会的な問題を超えて話題になってきた。最初に問題になったのは66年の東京海上火災保険が入っているビルの改築である。東京海上は127mの高さのビルにしようと計画したのに対して反対運動が起きて100mに変えた経緯がある。その後、90年代後半には丸ビル、新丸ビルの高層化に対して反対運動と保存運動が起きた。この時は小泉内閣の規制緩和の動きもあって07年に新丸ビルが約198mで決着した。この地域は100から200mまでの高さで立てられることになっている。

今回のパレスホテルの反対運動はこうした景観保護ということでは第3次の問題ともいえる。東京都がどのような条例を作るかで、千代田区とホテル側との間で問題になってゆくだろう。

国土交通省が景観法を制定してから、景観保護が大きな問題になってきたことは結構なことである。しかし、この千代田区では05年秋にオープンした「イタリア文化会館」の赤い壁に対して周辺住民から不満が出たが、そのままになったいきさつがある。ホテルの高さを抑えるようなことになれば逆に新丸ビルをどうして認めたことにもなろう。ホテル側の申請を前向きに認めるべきであろう。
| 兼平様論点の原稿 | 15:42 | comments(0) | - | pookmark |
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