17団体の共同宣言は実現するのか?
年末のあわただしい12月7日に建築業協会、日本建築士事務所協会、住宅生産団体連合会など建築士団体や建築業界、不動産、都市計画関係学会など17団体が「建築物温暖化対策についての共同提言」を行った。それによると家屋やビルなどの建築物が地球温暖化に及ぼす影響をゼロにするという勇ましいものである。これにあわせるように国際建築家連合(124カ国加盟)も「デザインや適切な材料選択で温暖化効果ガスを50−80%削減できる」というCOP15が開かれたコペンハーゲン宣言を発表した。17団体は宣言の実現を目指して行動計画を作ってゆく、という。
国土交通省の調べによると住宅や建築物を利用することによる排出する二酸化炭素は全排出量の3分の1に上る。年々増えており90年比で1・4倍の増加である。家庭用だけの排出量は14%である。国交省としてもこうした二酸化炭素の排出量をどのように減らしてゆくかで頭を痛めている。そうした中で環境対策として打ち出しているのが住宅エコポイント制度の導入である。省エネの冷蔵庫やデジタルテレビ、クーラーなどの家電製品と同じ制度を取り入れた。太陽光発電などの導入については補助金のほか余った電力は東京電力などの電力会社が買い上げるなどの補助があった。しかし、住宅そのものには環境対策が無かったので、前原国交相がエコポイントの導入をした。
住宅でエコポイントが与えられるのは内窓の設置や複層ガラスの交換、外装や天井などの断熱材施工などのエコリフォームが対象になる。
前原国交相は新年度の予算では景気対策に力点をおき、贈与税の非課税枠を500万円から1500万円まで3倍にした。このことで60歳以上が7割もつといわれている1400兆円といわれている資産を住宅建設に活用することを狙っている。息子や娘に少しでも良い住宅を作りやすいようした。馬渕・国土副大臣も「この制度で住宅着工は増えるはずだ」と話している。観光対策などに比べて環境対策については手薄といっても良いだろう。
そうした中で東京都は10年4月から排出量取引を開始する。都内の1400事業所を対象に一定の二酸化炭素の量が超えた場合には罰則を与える。このため、こうした事業所にとっては排出量取引によって排出量を買うという動きも出てくるだろう。東京都に続き環境省は排出量取引や環境税の導入も検討している。東京都と国が同じ取引制度では意味が無いだろう。どのように違うものが出てくるか。こうした東京都や国の動きを見て17団体が共同宣言を出したのだろうが、かなり画期的なことをしなければ宣言倒れになってしまうだろう。一時しのぎではすまない