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2011.08.29 Monday

「震災復興―どうなるこの地域、あの企業」(洋泉社MOOKより 
 

 住宅

 地震や津波にあったときには最初に必要なものは住宅である。住宅生産団体連合会(会長・樋口武男大和ハウス工業会長)にも国土交通省から応急仮設住宅の建設要請を受けた。このために住団連では緊急対策本部を作った。本部長には樋口会長がついた。応急仮設住宅はプレハブ建築協会、被災住宅修繕等支援は住団連が事務局になった。応急仮設住宅は3月14日には2ヶ月で3万戸の供給が可能になるように、という国交省からの要請であった。

 その後、この件数は6万2千戸に増えた。岩手、宮城、福島県での必要戸数を積み上げると7万2千戸となり1万戸増える。樋口会長は「国交省からの要請はあくまでも6万2千戸であり我々としては、この完成を目指す。こうした住宅ではいかに損を出さないようにするかです。応急住宅は価格が抑えられていますからね」と話している。

 住団連によると災害救助法により1戸は238万7千円になる。2LDKにキッチン、バス、トイレを備えるのでこの価格におさめるのは各社とも厳しい。大和ハウス、積水ハウスが2千戸、積水化学が1千戸、トヨタホーム800戸などとなっている。

 住宅業界の幹部によると東日本大震災と阪神淡路大震災と性格が違うという。阪神淡路の応急住宅は4万8千戸だったが、今回は倍近くの戸数になっている。その上に阪神淡路の時には都市部の建物が壊れたので復旧も難しくなかったが、今回は岩手から福島まで範囲が広い。経済的にも阪神に比べると支払い能力が低い事から、どの程度の需要が出てくるのか、分からないと話している。

 住団連の矢部広報部長は「住宅業界は特需が起きて良いですね、という人がいるが特需などとんでもない。部材が値上がりしたり、注文された納期が今回の大震災で遅れるなどして、やりくりが大変なんです」と話している。仕事が増えたのは間違いないだろうが、特需までは行かないようだ。 

 土木・建設・道路業界

 

 民主党政権になってから公共事業費は毎年減らされてきた。10年度の建設工事受注は前年度に比べて0・1%減の41兆7千億円と過去最低になった。このうち公共機関からの受注は9・9%減の9兆円と過去最低だった。こうした中でも東北地方は36・1%減になり他の地域に比べて落ち込みが大きい。民間の受注額が岩手、宮城、福島が50%以上落ち込んでいるために今回の地震による復興需要に期待するところは多い。ある大手ゼネコンの幹部は「地元を優先するでしょうが大手の技術が必要になるのは間違いないでしょう。特需になれば良いのですが」と話している。 

 土木・建設 

 11年4月に新しくなった日本建設業連合会(会長・野村哲也清水建設会長)は合併に先立って「新日建連緊急災害対策本部」を設置した。さらに土木本部(旧日本土木工業協会)の東北支部(支部長・赤沼聖吾鹿島建設専務東北支店長)は地震発生と同時に「震災対策本部」(本部長・赤沼支部長)を作った。この本部では国土交通省と東北6県・仙台市と締結している「災害時における応急対策業務に関する協定」に基づき資機材の調達や復旧支援に対する貢献をする。対策本部は幹事会社8社(鹿島、大成、ハザマ、鉄建、西松建設、前田建設、清水建設、大林)で構成しており各社から人が出て常駐している。資機材の調達は当番会社が責任を持って用意するが不足する場合は支部の63社の協力を求めている。対策本部ではガソリンや軽油の確保に苦労したという。瓦礫の撤去などで各県と協力してゆく。

 

 建設特需は3年間で11兆円から17兆円 

 総合人材サービスを提供するインテリジェンス(本社・東京都千代田区、高橋広敏社長)グループの「インテリジェンスHTO総合研究所」の今回の東日本大地震の雇用への影響について発表した。建設業には3年間で11兆円から17兆円の特需が生まれ、労働力としては建設業だけで97万3千人から152万人必要になる。この試算は産業関連表などをもとにしたもので被害額を16兆円から25兆円という政府の試算をもとにはじいた。同研究所によると「被災地の就業者は84万人おり、充分に雇用を吸収できる。しかし、建設業は人あまりであり、必要な人材の測量士、土木施行管理士、とび工、大工、左官などの経験や技術を持った人材が必要でミスマッチが起きて、建設業だけで雇用を吸収するのは難しい」と解説している。 

 原発の処理で鹿島と大成、清水が協力 

 今回の地震で原発からの放射線が出ていることが復旧工事を妨げている。この福島第一原発は鹿島が工事をした。このために鹿島は地震の後でも引き続いて後始末をしているが放射線の問題があり、1社では人員が間に合わない。そこで大成、清水に協力を求めて放射線の汚染した瓦礫処理は作業員の被爆を防ぐために遠隔で操作する重機で行った。作業員は現場から数百メートル離れた操作室で画面を見ながら油圧ショベルやダンプカー、ブルドーザーなどの重機を動かして瓦礫をコンテナに入れ原発敷地内の1箇所に集める。こうした3社の協力によるものは珍しい。 

 道路や河川や港湾の復旧工事 

 建設業団体と国交省の災害協定に基づいての活動が始まって成果を出している。東北建設業協会連合会は協定に基づいて道路の復旧に110チーム850人、機械を384台出した。一方、河川には6チーム89人、機械を52台出した。日建連の土木部は協定に基づいて仮設ハウス2300棟、仮設トイレを1500個を確保して被災地に出している。

 日本埋立浚渫協会でも国交省からの要請で12船団を9港に出した。船の種類は多目的起重機船や浚渫船、油回収船、パージ船(貨物を積んで航行する平底の船)など。各建設業団体は国交省と連絡しながら被災地の復旧工事に当っている。

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